ハリザッコは命の泉で生まれました。でも、いつの間にか黒く汚れた海に迷い込んでしまっていたのです。ハリザッコは思いました。もう一度あのきれいな命の泉に帰ろう。ハリザッコの旅が始まりました。


by harizakko
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続 宇宙人との交渉

【シーン Ⅳ】
宇宙人の乗っている宇宙船
 宇宙人A「まったく,ばかな地球人だ。こんなもので我々を滅ぼそうと考えているのだろうか」
宇宙人Aはテーブルの上にタバコの箱を転がした。
 宇宙人B「そうですよね。この中に依存性のある毒物が含まれていることは調査済みだというのに・・」
 宇宙人C「あぶなく,地球人を信用するところでした。これで決まりですね。」
宇宙人D「早く,地球人を皆殺しにして,この星に移住しましょう。そうすれば,バッタリ病で苦しむ我々も生き延びることができます」

実はこの宇宙人達は自分達の星でバッタリ病という病気がはやり,その原因がつかめていなかった。そこで,自分達の存亡をかけ,地球にやってきていたのだ。宇宙人は最悪の場合,地球を乗っ取るつもりだったのだ。

 宇宙人A「おい,研究班,報告をしてくれ」
研究班の一人「はい,A様,地球人の食料はすべて調べました。・・が特効薬となるべき物質はまだ,見つかっていません。ですから,特効薬を調べる作戦は進んでおりません。」
 宇宙人A「ふむ,やはり地球を占領してから移住する計画のほうがいいかも知れない。できれば,特効薬を見つける作戦がよかったのに・・」
 宇宙人Aは,ふと,テーブルの上の箱に目を向けた。そして何か思いついたように叫んだ。
「おい,研究班,このタバコの中身は調べたのか?」
「あ,いや毒物までは調査していませんが・・・」
「ばかもん,地球人には毒でも,我々には薬になるかもしれん!」
「はい!,すぐに調べることにします。」

【シーン Ⅴ】
 
 宇宙人の研究班がタバコの成分ニコチンを調べると,まさにそれはバッタリ病の特効薬だったのだ。宇宙人達は喜んだ,そして自分達の星では存在しないニコチンが地球でのみ生産されることを知ったのだ。
 地球上のタバコをすべていただくことにしよう。宇宙人Aはにやりとして言った。
 恐るべきタバコ狩り計画が行われた。
「地球人よ,よく聞け,我々はおまえ達を攻撃はしない! しかし,我々は大量のタバコを必要としている。地球上のすべてのタバコ,また,タバコの原料となるもの全てをいただくこととする。灰皿の中のシケモクの長いのもすべて差し出すこと!」
 地球人はこの要求をのむしかなかった。そして攻撃されずにすんだことを喜んだのだった。
  しかし,タバコを全て没収されてからが大変だった。
喫煙者たちは強制的に禁煙を余儀なくされた。畑に栽培されていたタバコの葉も全てもっていかれたものだから,新しくタバコができるまでは少なくとも半年かかることになった。

 宇宙人の星では大量のニコチンを活用して本格的に治療が進められ,完全にバッタリ病が姿を消すことになる。

さて,地球では,半年たって,タバコが吸える時が来た。
しかし,せっかく禁煙したのからというので再び喫煙者にもどる者はごく少数だった。
しかも,タバコの吸える場所もほとんどなくなり,まわりから白い目で見られるので,
喫煙を開始しても,すぐに吸わなくなるのだった。
地球上から,喫煙する者がいなくなるまで5年とかからなかったのだ。【完】
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by harizakko | 2005-10-07 05:53 | 短編小説