ハリザッコは命の泉で生まれました。でも、いつの間にか黒く汚れた海に迷い込んでしまっていたのです。ハリザッコは思いました。もう一度あのきれいな命の泉に帰ろう。ハリザッコの旅が始まりました。


by harizakko
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カテゴリ:短編小説( 18 )

2人の受刑者

ここはテネシー州ジョンションシティーにある更正施設
監房には二人の受刑者がいた。
ジョン(仮名)とテッド(仮名)
ジョン「おい、テッドおれはどうしても吸いたいんだ。どうしてここは禁煙なんだ。なあ、おれはたばこを吸うためならなんだってできそうだ・・。」
テッド「ジョンよ、おれもだ。もう吸わないで1週間たつ。吸いたくて吸いたくて頭がどうにかなりそうだよ。」
ジョン「おい、やっちまおうぜ。」
テッド「やっちまうって何を?」
ジョン「看守を襲って人質にするんだ。そしてたばこを要求するのさ。」
テッド「おい、そんなことしたら・・」
ジョン「なあに、おれらはどうせ人を殺しているからこれ以上いい子にしていたって刑は軽くはならねえ、それよりもたばこを1服してえとは思わねえか?」
テッド「吸いてえよ」
ジョン「だったら・・・・(作戦会議)」

凶行

2月26日午後2時35分 監房
ジョン「おい!看守!大変だテッドが口から泡ふいて苦しんでいる!来てくれ!」
ジョンの声に看守のスチュアートが鍵を開けて入ってきた。
そのとき、後ろからジョンがスチュアートを羽交い締めにした。
テッドは隠し持っていた食事用のフォークを看守ののどのあたりにあてがった。
「おまえら・・何を!脱獄でもするつもりか?」
「うるせえんだよ!だまって歩け!」
監房からのドアを開けさせ二人は看守を連れて面会室に入っていった。
ドアに机をあてがい、開かないようにした。

騒ぎに気づいた別の看守が叫んだ
「おまえら、何が望みだ」
「たばこだ!」
「!?!」
「たばこを持ってこい!」
・・・・・・・・
「たばこの他には何が望みだ!」
「何も・・吸ったらもどるぜ」
「持ってこなかったら、この看守を殺すぜ!」

看守たちはこの2人の受刑者の要求をのむしかなかった。

2月26日テネシー州の更正施設で看守を襲い、人質にしてたばこを要求した受刑者がいた。
32歳と25歳の男性受刑者で、この二人の受刑者はたばこを吸うと自ら監房にもどったという。6時間に及ぶ騒動だった。


私のブログに来たトラックバックのニュースをみて、想像してみました。
タバコ欲しさの凶行ですな。
タバコは麻薬です。
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by harizakko | 2007-03-06 04:35 | 短編小説
司会者「天国は禁煙かということについて論議したいと思います。」
G「天国は禁煙に決まってますよ。天国でタバコが吸えるなんて聞いたことがありませんよ」
W「あら,吸われないという話だって聞いたことがありませんけど・・」
G「でもね,イメージってもんがあるでしょ。」
W「どんなイメージかしら?」
G「そりゃ,お花畑が広がっていて,きれいなところですよ。そんなところではタバコの煙なんか絶対似合いません!」
W「私のおじいさんは,病気になってタバコを吸えなかったので,天国へ行ったら思いっきり吸ってみたいなっていいながら死んでいきましたよ。」
G「天国へ行ってまでタバコを吸うなんてばかげています。第一,自動販売機やJTがありませんから」
W「天国だからこそ,害のないタバコが吸えるんです。天国では病気しませんからね,肺ガンや肺気腫,肺気胸,掌蹟膿胞症とかの病気はありません。思う存分吸いまくるわ!」
G「だいたい,あなたが天国へ行けるとは限らない,私は前,喫煙者だったけれど,今は禁煙して,他人に迷惑をかけないようにしているから,私はだいじょうぶ!」
W「あら?私も禁煙しているんですけど・・」
G「じゃ,仲間だ!仲良くやっていきましょう」
W「こちらこそ,失礼しました」
司会者「では,話題を変えて地獄ではタバコが吸えるか,話し合ってみてください」
G「地獄の場合は,喫煙地獄とかの刑が行われていると思うよ」
W「そうそう,狭い部屋でタバコを吸いながら副流煙をあびさせられる。」
G「すごい光景だなあ」
W「うらやましいですね!」
G「ん?何か言った?」
W「いえ,こっちの話です」
G「それに一番すごいのは・・禁煙地獄だね!」
W「は?禁煙って楽しいもんだと誰かが言ってましたよ」
G「いいや,まずタバコを吸わせたら,3日間ニコチンを与えない,そして4日目に」
W「え?もしかして,そんな・・・」
G「そう,またタバコを吸わせるのさ,それを延々と繰り返す・・。」
W「なんて,ひどい!鬼!!」
G「でも,考えてみたら,現実でもありそうだね。」
W「だね」
司会者「すると喫煙地獄は現代社会でも見られるってことですね」
G&W「だね」

(このお話はフィクションです。がぼさんとわん子さんは一切,関係ありません)
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by harizakko | 2006-08-28 05:07 | 短編小説
「そろそろ、いいかの」
老人は持っていた杖を空の方に向けました。杖の先から光がのびていき、空の高いところで花火に変わりました。
 それを合図にしたかのように、4つの光が集まってきました。
そうです。4人の神が集まってきたのでした。
老人と女の子の前に姿を現したのでした。
「じいさん、何の用だい。」ドーパが笑いながら言いました。
「久しぶりに4人が集められたな。」セレトが言いました。
「よその神を追い出したとき以来なんじゃないか。」アドレが言いました。
「4人が集められたってことはいよいよ、はじめるのか。」ノルアが言いました。
「ほっほ、察しがついたようじゃな。その通り、ではブレインとしての仕事をしようかの」

事の成り行きが分からないので女の子はぽかんとするばかりでした。
しかし、次の言葉はさらにびっくりすることでした。

ブレイン、ブレインといったらこの国の最高の神です。この老人はブレインだったのです。
そしてブレインは言いました。
「今から、新しい神にこの国の全権をゆだねる。」
女の子は誰のことだろうと4人の神の方を見ました。
そして、ここにいるみんなの視線が自分に向けられていることを知って
「え、私?」とつぶやきました。

「そうじゃ、今まで、神の仕事を見てもらったのはこのためじゃ。この国のために尽くしてほしい。」
「わたしは無理です」
女の子は叫んだ。
「いいや、そなたはこの国を愛している。何、心配せずともよい。わたしはこれから、そなたの中に入り、この国を治める知識となろう」
そういうとブレインは女の子の体の中にすーっと吸い込まれていった。

女の子は自信に満ちた顔つきに変わり、4人の神のほうを向いた。
「新しい神の誕生だ。ばんざーい。」ドーパは喜びの粉を空いっぱいにまきだした。
「わたしは、この国を愛している。そして新しい国を創るわ。みんな、私に力を貸してね。」
「はっ」
神たちの顔はうれしそうであった。
いつのまにか、しおれかけていた花のつぼみがひらいていた。
空の雲の切れ間から日の光が差し込んできていた。
<完>
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by harizakko | 2006-08-24 20:19 | 短編小説

神の国があったとさ 3

「ところで,セレトはどうしているか,知らんかの。」
ドーパに向かって老人がたずねました。
「いつもはおまえさんの後にやってくるじゃないか」
「ああ,セレトね。あいつは,すっかり怠け者になってしまって,まだ寝てるんじゃないかな。」
「なんじゃと,神の国にはあやつが必要じゃというのに・・」
「おれは,いそがしいんでね。また,来るよ」
そういって,ドーパは別の場所へ飛んでいった。
しばらく,考え込んでいた老人が
「セレトのところに行かねばなるまいて,」
そして
「おぬしもついてまいれ。」
女の子を抱き上げたと思ったら,空に高く飛び上がった。
「おじいさん,空が飛べるの?」
「そうじゃよ,セレトまで一直線じゃ」
「もしかして,おじいさん,何かの神様?」
「ホッホッホ,いい勘しておるの」

セレトは日の光をあびながら大地に寝転がってうつらうつらと眠っていた。
老人はそのそばに降り立ち
「セレトともあろうものが,なさけないことじゃ」
セレトはその声を聞くとびっくりして飛び起きた。
「あっ,申し訳ない。ブレ・・いや,じいさん。よその神がいたとき,仕事がなくてぶらぶらしていたら,なかなかもとにもどらないんだ。」
「ばかもの,おまえがしっかりしないとこの国はどうなると思う。他の神たちはもう仕事してるぞ。早くいけ!」
「わかったよ,じいさん。」
セレトは大急ぎで飛び立っていった。

ついでにおまえに,アドレとノルアの仕事を見せておかねばなるまいて・・。
「ねえ,どうしてなの,おじいさん。どうして私に4人の神様の仕事を見せるの?」

「ほっほっほ,今にわかる。」
老人は,再び空に飛び上がりアドレとノルアのところまで行き,神の仕事ぶりを女の子に見せたのだった。
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by harizakko | 2006-08-22 18:17 | 短編小説

続 神の国があったとさ

「ねえ,おじいさん,むかしの話し,もう少し聞きたいな。」
「いいとも,どんなお話がいいかの。」
「あのね,4人の神様のこと聞いてもいい?」
「いいとも,それでは,喜びの神ドーパの話しをしようかの。奴は,この国のものがうれしいとき,楽しいときにやってくる神じゃ。」
「ふうん」
「陽気な奴でな。いつも笑っているか歌を歌っているかどっちかじゃの。奴は,この国の一番の人気者じゃ。」
「どんなことをしてくれるの?」
「そうじゃな。うれしいことがあるとドーパがやってきて歌いながら幸せの粉をそらから降らしてくれるのじゃな。その粉に包まれるとうれしい気持ち,幸せな気持ちがますます増してくるのじゃ。」
「とってもいい神様ね。」
「じゃがの,あいつは調子が良すぎて,程度というものを知らん。いつだったか,あいつが幸せの粉をまきすぎて,仕事をしなくなる者が出たときがあったの・・。」
「じゃ,心配だね。」
「でも,よくできたものじゃ。あいつが来た後,必ずセレトがやってくる。」
「セレトって?」
「おや,言わんかったかの。落ち着きの神,セレトのことを・・。」
「うーん?。」
「まあ,よい。セレトは落ち着きの粉をまいて,心を静めてくれる神様じゃ。この国一番の人気者がドーパなら,一番信頼されている神がセレトじゃな。」
「この神様もいい神様ね。」
「そうじゃよ。セレトはドーパの後からだけでなく,ノルアや,アドレの後にもやってくる一番忙しい神様なのじゃ。喜びだけでなく,悲しみ,不安,恐れ・・どの感情も大きすぎてはやっていけないのじゃ。セレトは粉をまきながら,落ち着け,落ち着けっていってな,働き者なのじゃ。」
「へえ」
いつのまにか二人の耳にこんな声が聞こえてきました。
「おいらは,幸せ運ぶ神,ドーパ,♪どんどんドドンパどんどん。楽しいこと,うれしいことおいらにまかせな。ドーパどんどん♪」
「うわさをすればなんとかじゃ,ドーパがやってきたぞ。」
遠くのほうからあっという間にドーパの大きな体が目の前に現れました。
ドーパは笑いながら二人に声をかけました。
「おやおや,これはブレ・・おっとあぶない。じいさんとお嬢ちゃん。何をしているのかな。」
「おまえこそ,何をしているのじゃ。」
「いま,こちらのおじょうちゃんがうれしい気持ちになったようだからね。粉をまきにきたのさ」
 そういってドーパは「小さな幸せ,片手でいいかな」といいながら,右手を高く上げるとその手のひらからピンク色の粉が噴水のように一度空に向かってはらはらと雪のように降り注いできました。
「わあ,きれい」
女の子は幸せな気分に包まれました。
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by harizakko | 2006-08-20 20:58 | 短編小説
「むかしむかし,この国には花が咲き乱れ,空気もきれいじゃった。おいしい水が湧き  出ていてな,空はどこまでも青く澄んでいた。男衆も女衆もはたらきもんでなあ,幸せに暮らしていたもんじゃ。」
「おじいちゃん,それで?」
「うむ,この国にはの神様が5人いての,アドル,ドーパ,ノルア,セロト,そして一番上の神がブレインという名前じゃった。」
「どうしてそんなに神様がいたの?」
「それぞれ役目を持っていたのじゃ,喜びや幸せの神ドーパ,意欲の神ノルア,
落ちつきの神セロト,戦いの神アドル,は国に住む者たちの感情を受け持っていたのじゃな。うれしいことがあると喜びの神ドーパがやってきてそれはそれは幸せな気分になったものよ。もちろん,悲しいときにはノルアがやって来て大粒の涙を流させてくれたもんじゃて」
ところがじゃ・・
話しをしていた老人は急に曇った顔をして子どもの方を向いた。
「どうなったの」
「あるとき,一番上の神ブレインが,よそもんの神をこの国に招いたのじゃ」
ブレインは4人の神を前にこう言った。
「4人の神よ,本当にごくろうである。今度,新しい神が手伝いをしてくれることになった。みんなも少しは楽になることだろう。」
新しい神は優秀であった。4人の神がやっていた仕事を一人で,やるだけの能力があった。
まじめだった4人の神は次第になまけものになっていった。
新しい神は国の者たちにうまくとけこみ,人気も得ていったのじゃ。
うれしいとき,悲しいとき,つらいとき,いらいらしたとき,新しい神がいつでも進むべき道を示してくれたのじゃ」
「おじいちゃん,みんなが幸せだったらそれでいいんじゃない?」
「しあわせじゃと?」老人は急にわなわなと怒りに震え始めた。
「あいつがなぜ,そんなにすごい能力があったかというとな・・あいつはこの国の命を少しずつ奪っておったのじゃ。この国のすべての人間の,全ての動物の,全ての植物の命を少しずつ奪っておったのじゃ」
老人は,空を指さした。
「見ろ,あの空を,いまではすっかり曇っておるじゃろ,そこの花を見るがいい,しおれて元気がないじゃろ。この国はだまされておったのじゃ」

「おじいちゃん,どうしよう!」
「心配しなくともよい。ブレインが自分の間違いに気付いて,よその神を追い出したのじゃ。」
「じゃ,もうだいじょうぶだね」
「ああ,だが,ほんとうにもとどおりになるにはもう少しかかるかの」
そう言って老人は子どもの頭をなでながらにっこりと笑った。
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by harizakko | 2006-08-17 20:14 | 短編小説

喫煙列車

※バックナンバーからはりつけ・・

飲み会があったので、帰りに終電に乗った。
途中でうとうとして、刺激臭で目が覚めた。タバコのにおいだ!!
自分の座っているところから進行方向に3Mほど離れたところでタバコを吸い始めた奴がいる。どっかのじいさんだ。
『おい!それはないだろう!今じゃマナー違反どころか犯罪行為だ!』
俺は注意をしにいこうと立ち上がりかけた。
すると、何と今度は逆の方向からタバコのにおいがした。
『うそだろう!つられて吸い始めた奴がいるのか』
そちらをふりむくと50代ぐらいのおばさんだ。
こういう場合、どう注意していったらいいんだ?一人ずつ片付ける?
しかし、とうとう3人目が吸い始めた。
『はあ?もしかして喫煙車両なのか?でも、おかしいな。喫煙できる車両なんてあったかな?』
すると、いきなりとなりのじいさんが話し始めた。
「あっちの右側でタバコ吸っている人な・・あいつはすでに死んでいる」
『はあ?いきなり何言っているんですか。このじいさんは・・北斗の拳でもあるまいし』
俺はこのじいさんを見た。ぞっとした。目に光が無いのだ。暗い海の底よりさらに暗い目をしているのだ。まわりの人間を見た。このじいさんと同じ目だ。死んでいるような目をしているのだ。
「あいつは、肺気腫で去年の10月に死んだ。そして、あっちのばあさんな・・」
「あのばあさんは、咽頭ガンで死んだ」
俺は声を失った。
『すると、何、幽霊なのか?俺は幽霊に囲まれているのか?』
車両には俺以外に7人いるが、そういえば、みんな精気のない顔をしている。
いつのまにか煙が7本立ち上って、俺は副流煙でくらくらしてきた。
不思議と怖い感じはしなかった。ずーんと深い悲しみで満たされているといった方が近い。
いつの間にか、7人は俺の周りに集まってきていた。
「何を・・したいのかな?」俺はぼそっと口を開いた。
「話を聞いてもらいたい。俺達はタバコのせいで死んだ人間だ。あんたに俺達の話を聞いてもらいたいのさ」となりのじいさんが言った。
「分かった。その前に俺にタバコをくれ」
おれはタバコをもらってそれに火をつけた。
「吸いたいからじゃないからな、これを線香がわりにするんだ」
たまたま、飲み終わった缶ジュースの缶があったので、それにはさみこんだ、煙がたちのぼった。
ひとりずつ話し始めた。話し終わると涙を流してありがとうと言った。
「天国は、禁煙だから吸っちゃダメだぞ」そう言ってやったら、すっと消えてしまった。
ひとりずつ話をしては消えていった。
最後にとなりのじいさんが残った。このじいさんは肺がんで死んだということだった。
線香代わりのタバコが燃え尽きると、じいさんも消えてしまった。
車両にはタバコの香りしか残っていなかった。

車掌のアナウンスが聞こえた。それで目が覚めた。
夢だった。なんでこんな夢を見たのかな?
ブログネタを考えるのに疲れてきたのかな。
そんなことを考えながら列車から降りた。
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by harizakko | 2006-07-30 05:36 | 短編小説

死ねない男

酒に酔うと誰とでも意気投合し,話し相手になってしまう。
この日もそうだった。ある男と話しが弾んでいたのだ。いや,面識もない他人の男とこうやって親しくなれるのは酒の力なのだろう。
しかし,たわいない日常のニュースや政治の話しをしているときはよかったが,その男が突然,深刻な話しを始めたもんだから,酒がさめていきそうだった。
「何もかも,いやになってね。死のうと思ったんですよ。」
「はあ,何でまたそんなことを・・。」
「会社でミスをしましてね。それ以来,上司が嫌みを言ってくるようになったんですよ。仲がよかった同僚まで変な目で自分を見ているような気がしてね・・。」
「私もサラリーマンしてますが,いろいろありますって・・。」
「なぐさめてくれんでもいいです。それで,わたしゃ首をつろうとロープを梁にかけたんですが,・・。」
「・・・・・・。」
「ブチっと切れましてね。死ねなかったんですよ。」
「はあ・・。」
「その後,飛び降りをしようと,あるビルの屋上に上がったんです。」
「・・・・・・。」
「そしたら,今にも飛び降りようとしている女がいましてね。」
「・・・・・・」
「ばかな事をするんじゃない。死んでどうなるって叫んでしまいましたよ」
(おいおい,死にたくて屋上にいったんだろ,いっしょに死ねよ)
「それから,いろいろ試したけどどの自殺方法も失敗してね。フーッ」
男は大きなため息をした。
そして,一度頭を垂れたかと思うと,頭を上げ上目でこう言った。
「タバコありますか?」
「ああ,あるよ。セボンスターでいいかい?」
ポケットからタバコを取り出したとき,後ろを歩いていた従業員が何かにつまづいたのか
私のほうにたおれてきた。私のたばこは従業員の持っていた水がかかって吸えなくなってしまったのだ。
「すみません,すみません」その従業員は何度もあやまった。
わたしといっしょの男は驚きもせずに
「やっぱり,そうか」とつぶやいた。
「いや,それは,わたしがタバコをねだったからです。」
何を言っているのか分からなかったが,実はこういうことだ。
男がタバコを吸いたくて自動販売機にいけば,故障中になっているし,コンビニにいけば,定休日,同僚からもらおうとするときのうから禁煙だとか言われてタバコが吸えなかったらしいのだ。
 「タバコが吸えないんですよ・・」そういってさみしそうに笑った。


※喫煙はスローな自殺です
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by harizakko | 2006-01-07 07:02 | 短編小説
「そろそろ、いいかの」
老人は持っていた杖を空の方に向けました。杖の先から光がのびていき、空の高いところで花火に変わりました。
 それを合図にしたかのように、4つの光が集まってきました。
そうです。4人の神が集まってきたのでした。
老人と女の子の前に姿を現したのでした。
「じいさん、何の用だい。」ドーパが笑いながら言いました。
「久しぶりに4人が集められたな。」セレトが言いました。
「よその神を追い出したとき以来なんじゃないか。」アドレが言いました。
「4人が集められたってことはいよいよ、はじめるのか。」ノルアが言いました。
「ほっほ、察しがついたようじゃな。その通り、ではブレインとしての仕事をしようかの」

事の成り行きが分からないので女の子はぽかんとするばかりでした。
しかし、次の言葉はさらにびっくりすることでした。

ブレイン、ブレインといったらこの国の最高の神です。この老人はブレインだったのです。
そしてブレインは言いました。
「今から、新しい神にこの国の全権をゆだねる。」
女の子は誰のことだろうと4人の神の方を見ました。
そして、ここにいるみんなの視線が自分に向けられていることを知って
「え、私?」とつぶやきました。

「そうじゃ、今まで、神の仕事を見てもらったのはこのためじゃ。この国のために尽くしてほしい。」
「わたしは無理です」
女の子は叫んだ。
「いいや、そなたはこの国を愛している。何、心配せずともよい。わたしはこれから、そなたの中に入り、この国を治める知識となろう」
そういうとブレインは女の子の体の中にすーっと吸い込まれていった。

女の子は自信に満ちた顔つきに変わり、4人の神のほうを向いた。
「新しい神の誕生だ。ばんざーい。」ドーパは喜びの粉を空いっぱいにまきだした。
「わたしは、この国を愛している。そして新しい国を創るわ。みんな、私に力を貸してね。」
「はっ」
神たちの顔はうれしそうであった。
いつのまにか、しおれかけていた花のつぼみがひらいていた。
空の雲の切れ間から日の光が差し込んできていた。
<完>
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by harizakko | 2005-12-14 21:53 | 短編小説

神の国があったとさ 3

「ところで,セレトはどうしているか,知らんかの。」
ドーパに向かって老人がたずねました。
「いつもはおまえさんの後にやってくるじゃないか」
「ああ,セレトね。あいつは,すっかり怠け者になってしまって,まだ寝てるんじゃないかな。」
「なんじゃと,神の国にはあやつが必要じゃというのに・・」
「おれは,いそがしいんでね。また,来るよ」
そういって,ドーパは別の場所へ飛んでいった。
しばらく,考え込んでいた老人が
「セレトのところに行かねばなるまいて,」
そして
「おぬしもついてまいれ。」
女の子を抱き上げたと思ったら,空に高く飛び上がった。
「おじいさん,空が飛べるの?」
「そうじゃよ,セレトまで一直線じゃ」
「もしかして,おじいさん,何かの神様?」
「ホッホッホ,いい勘しておるの」

セレトは日の光をあびながら大地に寝転がってうつらうつらと眠っていた。
老人はそのそばに降り立ち
「セレトともあろうものが,なさけないことじゃ」
セレトはその声を聞くとびっくりして飛び起きた。
「あっ,申し訳ない。ブレ・・いや,じいさん。よその神がいたとき,仕事がなくてぶらぶらしていたら,なかなかもとにもどらないんだ。」
「ばかもの,おまえがしっかりしないとこの国はどうなると思う。他の神たちはもう仕事してるぞ。早くいけ!」
「わかったよ,じいさん。」
セレトは大急ぎで飛び立っていった。

ついでにおまえに,アドレとノルアの仕事を見せておかねばなるまいて・・。
「ねえ,どうしてなの,おじいさん。どうして私に4人の神様の仕事を見せるの?」

「ほっほっほ,今にわかる。」
老人は,再び空に飛び上がりアドレとノルアのところまで行き,神の仕事ぶりを女の子に見せたのだった。
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by harizakko | 2005-12-13 20:46 | 短編小説