ハリザッコは命の泉で生まれました。でも、いつの間にか黒く汚れた海に迷い込んでしまっていたのです。ハリザッコは思いました。もう一度あのきれいな命の泉に帰ろう。ハリザッコの旅が始まりました。


by harizakko
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初雪と汚れた海と

ハリザッコが泳ぐ川に初雪が降りました。
雪が川面に吸い込まれる様は幻想的です。
寒さには強いはずのハリザッコも
身震いをしてしまうほど
冷たい緊張感があたりを包んでいました。

なぜかハリザッコは黒く汚れた海で暮らしていたころを
思い出していました。

何も知らないことは,それはそれで幸せだったのです。
自由にどこへでも泳いでいけました。
そこでは仲間もたくさんいたのです。

でも,なぜか悲しそうなのです。
ハリザッコは体の大きな魚に聞いてみました。
「ねえ,どうしてみんな悲しそうなの?」
その魚は答えてくれませんでした。

あるとき,ハリザッコは見ました。
白い腹を上にして浮かび上がっていく仲間の姿を・・

そう,この汚れた海では毎年,何匹ものなかまが死んでいく・・。
「ねえ,ここにいたらみんな死んでしまうよ」
ハリザッコは叫びました。
ハリザッコがいくら叫んでも海から出ようとする仲間はいませんでした。

ハリザッコは思いました。
「ふるさとに帰ろう! 命の泉へ」
あれから,何ヶ月経ったのだろう。いっしょに泳いでいる仲間も増えました。
力尽きて流されていってしまった仲間もいました。

もうずっと遠くに見えなくなった海のほうをちらっと見て
ハリザッコはまた泳ぎはじめました。

冷たい雪が川の中へ音もなく吸い込まれていきます。
by harizakko | 2005-11-18 19:41 |