ハリザッコは命の泉で生まれました。でも、いつの間にか黒く汚れた海に迷い込んでしまっていたのです。ハリザッコは思いました。もう一度あのきれいな命の泉に帰ろう。ハリザッコの旅が始まりました。


by harizakko
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これは新作

除夜の鐘を聴きながら

ハリザッコは命の泉めざして泳いでいます。
ふるさとの町が近づいて来たのがわかります。
川の流れにふるさとのにおいが強く感じられます。

ある夜,静かな夜の闇に腹の底に響き渡るような鐘の音がしました。
ゴーーン
腹の底に響き渡り,魂までもゆさぶるようなこの音に
ハリザッコの記憶がよみがえってきました。
ふるさとの町はお寺が多いので
鐘の音はあっちからもこっちからも聞こえます。
ゴーン,ゴーーン,ゴーーーン

海にいたときには聞こえなかった音です。
ああ,そうです。ハリザッコは気付きました。
とうとうふるさとの町にたどり着いたのです。

ハリザッコがまだ小さいときこの音にびっくりして
巣に逃げ帰ったことを思い出しました。
パパザッコとママザッコはその様子があまりにこっけいで
いつまでも笑っているのでした。
「ねえ,あれは何の音なの」
ハリザッコはパパザッコとママザッコに聞きました。
「あれはね,人間が鳴らす鐘の音だよ。1年が終わり,新しい年を告げる鐘の音だよ」
「ふうん」

ああ,ふるさとに帰ったんだ。
もうすぐ命の泉にたどりつくんだ。
除夜の鐘は1年の終わりとふるさとの町にたどり着いた事を
ハリザッコに告げたのでした。



※今年の記事の投稿はこれが最後です。新年にお会いしましょう。
 皆様、良いお年をおむかえください。
 
by harizakko | 2005-12-29 21:27